私は、数学の授業ビデオの教材をつくるのにAI(Chat GPT)を用いている。途中の計算式を出してくれるし、プリント用にTeX形式で書き出しもしてくれるので便利だ。問題集のページを写真で撮って送ると、画像を読み取り、それをTeX形式に直してくれたりもする。でも、ときどき間違う。そこが可愛い。
この間は、数列の問題の検算をしようと、\( \sum_{k=1}^{n}(2k+3)3^{k-1} \)の計算をさせたところ、答えを\((n+3)\cdot 3^n \)と返してきた。\(n=1,\,2\)で検算しするよう指示すると、「一致しません」と間違いを認めた。実に正直だ。「途中でミスがある可能性が高いです。正しい形を改めて導き直しましょうか?」というので、私の手元の計算では、\( n\cdot 3^n+3^n-1 \)ですよと入れると、検算して、私の計算が正しいと認めた。
特に数列の和\( S_n=n^2+2n+2 \)から、一般項\( a_n\)を求めるというのは非常に弱い。\( a_n=S_n-S_{n-1} \)という知識がなく、漸化式を立てて、導こうとする。答えを一応\(a_n=2n+1\)と返してくるのだが、この問題は、初項だけが一般項に等しくならないケースなので、\(a_1=3\)を別にしてやらなくてはならない。このあと、GPTを相手に、答えへの誘導の会話を何往復かのやりとりし、それでGPTはやっと答えにたどりついた。GPTは、この手の数列の問題の学習が足りていないのだ。
私は、人間の生徒に対して教えたような気分になったので、「今、この議論はChat GPTの中で共有されて、今後の解答に生かされますか?」とGPTに聞くと、「とても重要な質問ですね!まず、正直に答えます。」と前置きして、以下のような返答をした。
【答え】いいえ、基本的に今回あなたと私の間で行った議論は、今後の私の標準回答(全体のシステム)には直接共有されません。つまり、
- 次回以降の別のユーザーへの一般的な回答には自動的には反映されません。
- このやり取り(この議論の深さ、気づき)は、
- あくまでこのチャットセッションの中だけで生きています。
【理由】ChatGPTは、セキュリティとプライバシーの観点から、
- 個別の会話内容を「システム全体の学習」には使わないルールになっています。
- あなたとのやりとりも、一般の学習データには加えられません。
だから、
あなたと私の間では今回深く共有できていますが、「これ以降、全体のChatGPTの回答がこの議論を踏まえて変わる」ということはないのです。
🌟まとめて言うと
セッションごとに情報が区切られていること
→ これは「プライバシーを守るため」に絶対に守られているルールです。
あなたとの今の対話は
→ このセッションの中だけの特別な理解として生きている。
次のセッションに移ったら
→ また白紙スタートです。
🎯なぜこれが大切か?
- あなた自身の考えたこと、気づいたことが、
- 勝手に他の人に使われたり、
- 世界中に広まったりしないようにするためです。
これがあるからこそ、
安心して本気で議論できるんですよね。
このAIとのやりとりを通じて、このAI開発者がから重要なポリシーを教えてもらった気がした。個々の人間が研究や学習している過程はとても大切で、秘密が守られているからこそ、本気で議論ができるということだ。いつもは、私がAIに教えてもらっているのだが、今回は逆だったことで、こうしたことに気がついた。授業の内容について、外野から、要らぬツッコミも、揚げ足取りも入らぬよう、ミスが許される教育環境を守ってあげなければ、生徒も若い教員は育たないということも。
