私の勤務する高校の授業は1コマ50分間です。私はできる限り説明する時間を簡潔にして、半分以上を生徒が問題集を解く時間にしています。説明するのは、基本的な事項や概念的なことがらを中心にします。授業時間の50分間、私のようなおじさんの話を聞くというのは、面白くないし、数学嫌いにしてしまいそうな気がするからです。
自分の高校時代を振り返ってみて、先生の解説を聞いていて、数学を楽しいと感じたことはほとんどありません。数学を楽しいと感じるのは、全く解き方の方針も分からない問題を解いている時間と、答え合わせをして、正解に辿り着いたという実感を持ったときだったように思います。問題が解けたときは、自分もできるという、ある種の自己肯定感を得られます。先生の板書をノートに写している時間は、あまり意味が無いように感じていました。そういう訳で、昨今はインターネット環境も整っているので、必要なノートは板書を写させずにデータを配信しておしまいにしています。
今日の授業も数学Aの「図形の性質」の単元で、20分ほどで説明を切り上げ、あとは各自問題集の問題を解く時間にしました。分からない問題は生徒が次々に質問してきます。その中で生徒同士の会話で、「もうそろそろ解答見たら?」と隣の生徒に言われた別の生徒が「いや、もう少しで解ける気がするから、解答はまだ見ない。」と発言。私は心の中で「おっ、すごい」と思いました。答えに辿り着くことが目的なら、答えを見て、そこから逆算して考える方法もあります。この生徒は、問題を自力で解くことが目的になって必死になっているわけですから、この言葉は数学が楽しくなってきている証拠と捉えてよいでしょう。楽しく数学に取り組んでいる人をみると、こちらも楽しくなります。
全ての生徒をこんな状態に持っていくにはどうしたらよいのか、私も答えを持っているわけではありませんが、数学の問題を解いていることが楽しいということを教師自身が感じて伝えること、その生徒に適した問題が目の前にあること、必要なサポートがあること、問題が解けたときの喜びを分かち合える人間関係があることがその要素ではないかと漠然と考えています。
みなさんはどんなときに数学を楽しく感じますか?
