数Iの「2重根号」は、これでいいのか?

数学Iの教科書にはルートの計算の「発展」として2重根号の外し方が掲載されています。

$$\sqrt{7+2\sqrt{10}}=\sqrt5+\sqrt2$$

これをCASIO JP700CWでどうなるのかをやってみたところ、次のように小数で返ってきました。関数電卓の進化は激しく、ルートの計算も普通にルート表示で返されてくるのに、二重根号は小数表示で返されてくる。これは、どう評価したらよいのかを考えてみました。$\sqrt5+\sqrt2$と返してもらうべきなのでしょうか、それとも$3.65028154$でよいのでしょうか?

Mathematicaでやってみると、次のように教科書と同じ答えが返ってきます。

これを小数表示で返すように命令すれば、CASIO JP700CWと同じ数値が返されてきます。

2重根号は数学の問題を作っていると、よく発生します。例えば、下のような三角形で\(x\)の値を求めると、

$$
\begin{array}{ll}
x^2&=9+4-2\cdot 3\cdot 2 \cdot cos 30^\circ \\
&=13-6\sqrt3\\
x&=\sqrt{13-6\sqrt3}\\
\end{array}
$$

と2重根号が発生します。しかしこの2重根号は教科書のやり方では解けません。\(a+b=13\), \(a\times b=27\)となるような適切な自然数が存在しないからです。教科書にも「\( \sqrt{2+\sqrt 2} \)のように、それ以上簡単にできない場合もある。」と断り書きが書いてあります。2重根号は特殊なケースしか外すことができないのです。

Mathematicaならどうでしょう?

簡約することができません。小数の値としては \(1.61484\) です。実数としては存在しています。ならば、\(a+b=13\), \(a\times b=27\)となるような数値を方程式\( x^2-13x+3=0 \)を解いて求めてみましょう。

条件を満たす数値\( a, \, b\)は存在しますが、ルートがついている無理数です。この2つの数字で\( \sqrt {a} -\sqrt {b} \)を計算すると、\( \sqrt{13-6\sqrt 3} \)になるのでしょうか?

元に戻りました。

以上のことから分かることは何か?

  • 2重根号は図形の問題としては、普通に発生するレベルの問題である。
  • 教科書では特殊なケースで2重根号を外すことだけを解説している。
  • 2重根号を外すことができない場合があるとはいうものの、それが実数として存在していることを説明していない。

したがって, 関数電卓CASIO JP700CWが小数表示して実数であることを示すことは、ある意味、生徒の理解を正しく導いているのではないかと私は考えるのですがみなさんはどう思いますか?

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