このサイトで活用するテクノロジー
プリント作成には、TeXとTikzを主に用いています。また、GeoGebra をグラフや図表を書く際に用いています。これらはフリーソフトです。TeXとTikzは、オンラインで利用できる時代になっています。使い始めると出来上がりの見栄えから他のもので代用がききません。GeoGeblaは関数のグラフを見たり、幾何学図形を描くのに非常に便利ですし、高校レベルの代数的な計算もやってくれます。私は授業でも使っています。
また関数電卓として、カシオJP700CWを推奨しています。価格は4000円程度です。この価格で、自然な数学表記で入出力ができ、分数、ルート、方程式、複素数などの計算ができます。高校生が社会人になって、数学的な活動をする際に、関数電卓は必須でしょう。PCでもできますが、簡便さを考えれば、関数電卓との両刀使いが一般的でしょう。
私は全ての生徒が所持し、試験持ち込みを許可することで、数学的な能力は計算力ではなく、思考力へと移行することが可能であると考えています。関数電卓は、数式を変形することまではできません。計算の結果は出てきますが、その過程を追うことまではできないので、指導方法を工夫すれば、必要な分野の計算の力をつけることもできます。
海外では、数学の授業で関数電卓を用いるのは当たり前です。紙と鉛筆だけで数学をしている時代ではもはやありません。

海外の事情
私の学校では国際バカロレアのコースがあり、私は数学を教える外国人教師と交流がありました。彼らは「なぜ日本人は紙と鉛筆だけで数学を教えるのか?生徒たちが大人になった時には、テクノロジーを使ってモノを考えるのに、必要のない手計算をなぜ苦労して教える必要があるのか。」と冗談を言ってきます。国際バカロレアの数学では関数電卓の上位機種であるグラフ電卓を使います。国際バカロレア機構の認定されているところでメジャーなのはTexas Instruments社の製品ですが、日本の企業では唯一カシオがfx-CG50という機種が認可されています。試験上へ持ち込むときにメモリーがクリアされるという機能が備わっているのです。数学教育に特化して非常に優れているのですが、価格が3万円近くするので、教材が十分対応していない現在の日本の教育では皆が所持しても宝の持ち腐れになる可能性が大です。数学に興味がある生徒には意味あるアイテムになるでしょう。現時点では、全員が所有するレベルとしては、上記のカシオJP700CWから始めて、内容と教材を整えていくことからだと考えます。
GeoGeblaも実は外国人の教員から教えてもらいました。グラフが可視化され、変数の変化がグラフにどのように影響するのかが一目で分かる点は極めて優れています。またGeoGeblaはTikzの書き出しができるので、Tikzで図を簡単に作りたい時には重宝です。この方法は記事で紹介したいと思います。
海外の教科書は、日本の教科書と比べ物にならないくらい分厚くてサイズが大きくなっています。説明が丁寧で、電卓を使ってやる問題も掲載されています。日本の教科書には各セクションの問や練習問題の答えがありませんが、海外の教科書は掲載されている問や練習問題の解答は必ず巻末に掲載されています。これらの作りから、日本の教科書は教員が指導して初めて成立するものだということが分かります。それぞれの教科書のいわゆる「指導書」は大きくて分厚いですよね。教科書は後から読んでも内容に一貫性があるような書き方がされているので、それぞれの表現に細やかな配慮がされています。スペースが限られているので、数式は一部端折られています。はじめてその単元を学習する生徒にとって、分かりやすくなっているかというと、行間を読んだりする力が求められていて、必ずしも十人が十人理解できるものではありません。生徒の前で授業をする先生の力なくしては、子供達の数学の理解は進まないのです。
だからこそ、数学教師が利用できるツールが必要です。全てを教員がする必要はありません。活用できるものは活用すべきです。テクノロジーを使って、生徒の「分からない」を「分かった」に変えるための合理的な方法を見つけなければならないのです。
TeXとMathjax
私は数学のプリントはLaTeXを使って作っています。数式は段落の中に書くときはインライン、数式単独で書くときはアウトラインで書きます。例えば、以下のように表示させたいときには、下のように記述をします。
$x=\frac{\sqrt 2+1}{2}$のとき、次の式の値を求めよ。
$$x^2+\frac1 x$$
[mathjax] \(\displaystyle x=\frac{\sqrt 2+1}{2}\)のとき、次の式の値を求めよ。
$$x^2+\frac1 x$$
このブログを立ち上げようと準備をいろいろしていると、このTeX形式の表記でweb上で数式が入力できることが分かりました。「mathjax」というプラグインを使うことでそのことが可能になります。もはや標準的な技術として認知されていることを遅まきながら知りました。
インターネット上で数学を議論する際に、どのようにして数式を表記すればよいのかということは、数学的リテラシー教育として位置付けるべきではないでしょうか。PCや関数電卓を活用してグラフを描いたり、方程式を解いたり、因数分解をしたりすることは一般的になっています。そうしたテクノロジーを活用した数学的なアプローチを考える必要があります。
プレゼンソフトはこれまでPowerPointを使っていましたが、beamsを使うことにしました。beamsはスライドをPDFで作ります。PDFだと高価なソフトが必要ないので、科学分野の研究発表の基本ツールになりつつあります。beamsだとTikzで描いた図形も部分的に表示、非表示ができます。
\(\Tex\)を中心にTikz, beams, mathjaxと拡張が進んできています。「テキスト」「画像」「数式」。この3つは情報を伝えるときの基本要素です。社会の情報化の進化を鑑みると、数学を教えるということに、数式を用いて伝達する手段も含める必要があるように感じています。
AI
当初は、ChatGPTとClaudeを年間契約で使っています。それぞれ強いところがあるので使い分けています。
- 問題集のテキスト読み取り
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問題集の問題を宿題プリントにするときに、問題集をスマホで写真で写して、その画像をChatGPTに送信し、「日本語を読み取ってTeX形式で返してください」とお願いすると、数式を含めてTeX形式で返してくれます。数式が必要なければ、単に「日本語を読み取ってください」で大丈夫です。ただ、100回に1回ぐらいかもしれませんが、数字の読み間違いがありました。ChatGPTも先入観を持って作業をしているのでしょう。
- Tikzのソース書き出し
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例えば、「Tikzで正七角形を書いてください」と入力すると、以下のようなコードを書いてくれます。
\foreachを使って繰り返しのプログラムも自動で書いてくれるのはありがたい。\documentclass[tikz,border=5mm]{standalone}
\begin{document}
\begin{tikzpicture}
% 円を描画
\draw[gray, dashed] (0,0) circle(1);
% 正六角形を描画
\draw[thick, blue] \foreach \i in {0,60,…,300} { (\i:1) } — cycle;
% 頂点をマーク
\foreach \i in {0,60,…,300} {
\fill[red] (\i:1) circle(2pt);
}
\end{tikzpicture}
\end{document} - 数学の問題を解く
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問題の答え合わせはClaudeで行っています。Chat GPTよりも数学的な技量は高いと思います。(ただ、日々刻々とバージョンアップがなされているので、固定的ではありません)自分で作った問題の解答が本当に合っているかどうかを確認するのには重宝します。
- 外国語の翻訳
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数学の日本語の問題を英語に翻訳すること、あるいはその逆ができるようになります。ただ、これまで何度がしてきましたが、ネイティブスピーカーに確認してもらうと、ニュアンスが伝わらない表現の時があり、修正が必要な場合があります。
- プログラミング
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Pythonを使って教材アプリを作成していますが、コードはClaudeが書いてくれます。サーバーの環境設定もAIに教えてもらいました。人間は作りたいものを伝えるだけです。ノンコードでアプリが作れる時代になっています。
Mathematica
1990年ごろから私はMathematicaを使っています。数学を必要とする人には、まさにスーパーソフトウエアです。当時の値段は非常に高かったのを覚えています。テスト問題に使うグラフを描いたり、方程式の検算をしたりするのには唯一の道具でした。因数分解の問題や簡単な代数計算の問題を作るのに使っています。Mathematica特有の言語を用いなければなりませんが、展開ならExpand[ ], 因数分解ならFactor[ ]、方程式を解くなら Solve[ ]など意味が分かるので、初心者にも使いやすいものとなっています。
一時期、生徒全員を対象にMathematicaを使った数学の授業もしていました。一つは媒介変数表示でリサジュー図形やフラクタル図形を描いたり、大学数学の導入としてテイラー展開が近似するようすをグラフで見たりすることをしていました。こうしたテクノロジーを使うことで、グンと数学の内容が身近に感じられるところがメリットだと思っています。
