因数分解の問題は、解けば解くほど難しい問題が次々に出てきます。3変数の対称式や交代式は技巧的で数学的には面白いのですが、限られた授業時間数を考えると、「1文字で整理して因数分解できる」範囲の問題として扱うのが精一杯です。複2次式も深入りすると、大変です。どの生徒にもできてほしいのは、どの辺りまででしょうか。
数学IIの図形と方程式「領域」のところで、\((3 x+ y-2)( x- y-3)<0 \)のような不等式が出てきますが、この内容をすんなりと受け入れるためには、因数分解で一度触れておくのが必要かなというのが私の考えです。2次なら因数分解を面積図で説明することもできますし、2変数なら\(xy\)平面上の点として認識することもできます。
それでは、高校1年の因数分解の単元で、\(3x^2-2x y-y^2-11x-y+6=(3 x+ y-2)( x- y-3)\)のような因数分解の意味を生徒に伝えるためにはどうしたら良いかを考えていて、因数分解する理由は方程式を解くことであるから、方程式\( 3x^2-2x y-y^2-11x-y+6=0 \)をグラフ化することを思いつきました。MathematicaのImplicitPlotという関数で描けることは知っていましたが、生徒に自ら描かせることができないかとGeoGebraでやってみたところ、なんと陰関数のグラフをGeoGebraは見事に描いてくれました。

2本の直線は、\( 3 x+ y-2=0 \)と\(x- y-3=0 \)になっています。2次式が2つの1次式の積に因数分解できるということは、1次式=0で表すグラフ2つの直線になるということが目で見て確認できます。
定数部分を\( t \)として、スライダにしてやると、簡単にアニメーションもできます。
\(px^2+q x y+r y^2+s x +t y+u =0 \)というグラフは一般的には、曲線のグラフになるということが見て取れます。非常に稀に左辺が因数分解できる場合に2本の直線になるのだということが分かります。
巷では、「因数分解せよ」という問題ばかりですが、因数分解できる式は、極めて特別な場合ということであれば、因数分解できる条件を考えるというような発展のさせ方もあると思います。例えば「2次式 \(3x^2-2x y-y^2-ax-y+6\) が因数分解できるならば、\( a \) はどのような値をとるか」というような問題も生徒が自分で考える題材としては面白いのではないかと思います。\( a \) をスライダで動かしてみると、2つの直線になるところがいくつか出てくるでしょう。
ともあれ、GeoGebraでこれだけのことができるというのは、画期的なことだと感激しています。これほどのツールが開発されているなかで、実際の数学教育にどう使うのかを考えるのが、今をいきる数学教師の使命でしょう。
