\( a^3+b^3+c^3-3abc\) の因数分解、いる?

多くの高校1年生の参考書で、上記の因数分解を \( a^3 +b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)\)を利用して3変数に持ち込む方法で説明がなされています。この因数分解が本当に高校1年生に必要なのか、私は大いに疑問に思っています。この問題だけでは発展性がありません。この因数分解は、このような技巧的なことをしなくても、任意の対称式は基本対象式の組み合わせによって表すことができるということを知っていればもっとシンプルにできます。しかし、このようなことは教科書には一切書かれていないので、高校数学の範囲を超えていると言えます。このような問題が配置されることで、生徒たちが数学を必要以上に難しく感じてしまいます。

\( a^3+b^3+c^3-3abc\) は、\(a,b,c\) の3変数で3次の対称式です。もしこれが因数分解できるとするならば、1次の基本対象式と2次の対称式となるはずです。

3変数の1次の基本対象式は\( a+b+c \) のみです。

一方、2次の対象式は、 \(X= a^2+b^2+c^2 \) 、 \( Y=ab+bc+ca \) として、 \(mX+nY\) の形で表すことができます。したがって、\(与式=(a+b+c)(mX+nY)=m(a+b+c)X+n(a+b+c)Y\)とすることができるのです。

ここで、\( (a+b+c)X \)と、 \( (a+b+c)Y \)を計算してみましょう。

$$
\begin{array}{rcc}
(a+b+c)(a^2+b^2+c^2) & = &a^3+b^3+c^3 &+ab^2+a^2b+bc^2+b^2c+ca^2+c^2a \\
(a+b+c)(ab+bc+ca) & = &3abc &+ab^2+a^2b+bc^2+b^2c+ca^2+c^2a \\
\end{array}
$$

右辺の大半の項が同じになることが分かります。ここで第1式から第2式を引けば、以下の式が得られます。

$$
(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)=a^3+b^3+c^3-3abc
$$

対称式は、美しく、数式の次数を意識的に使って考えることができ、数学の面白さを感じることができます。でも、これをちゃんと伝えるだけの時間はありませんよね。

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