MYP5の教科書で二重根号がどのように取り扱われているのかについて見たところ、アプローチがかなり異なりました。大きく分けて3つのステップを踏んでいました。
Step 1
ルートの計算の単元中に、まず、次のような問題が配置されていました。
Write \( \displaystyle \sqrt{\frac{3+\sqrt2}{3-\sqrt2}} \) in the form \( a+b\sqrt2 \) where \(a,b \in \mathbb Q\).
分母の有理化をすれば、大きな根号の中が\( (3+2\sqrt2)^2 \)となるので、根号が外れる問題です。二重根号というものが存在するけど、怖くはないんだよと教えています。さらに、同じ問題群に次のような問題があります。
If \( x=\sqrt5 – \sqrt 3 \), find \(x^2\) and hence show that \( x^4-16x^2+4=0 \).
You have just shown that one solution of \( x^4-16x^2+4=0 \) is \(x=\sqrt5 -\sqrt3\) .
4次方程式の解にルートが出てくることがあると示唆しています。
Step 2
そのあと、\( \sqrt 2 \)が無理数であることを背理法で説明し、\( a+b\sqrt2=c+d\sqrt2 \)であれば、\(a=c \) , \( b=d \) であることを示し、これを用いて次のような問題を配置していました。
Solve for \( x \) and \(y \) given that they are rational:
(1) \( x+ y\sqrt2 =5-6\sqrt2 \)
(2) \( (x+y\sqrt2 )(3-\sqrt 2)=-2\sqrt2 \)
Find rationals \( a \) and \(b \) such that \( (a+2\sqrt2)(3-\sqrt2 )=5+b\sqrt2 \)
これらの問題は、日本の数学の教科書ではルートの計算の単元では消えて、「集合と命題」の背理法の証明の中に写されています。このあとExercise の問題が続き、少しずつ難易度が上がる中に次のような問題が用意されていました。
Find rationals \( a \) and \( b\) such that:
(1) \( (a+b\sqrt2)^2=33+20\sqrt2 \)
(2) \( (a+b\sqrt 2 )^2=41-24\sqrt 2 \)
ためしに(1)を解いてみると、4次方程式がでてきます。
$$ a^2+2\sqrt2 ab +2b^2=33+20\sqrt 2 $$
$$ a^2+2b^2=33, \quad ab=10 $$
\( a^2b^2=100\, \) に \(\, a^2=33-2b^2\, \) を代入して、
$$2b^4-33b^2+100=0$$
$$ (2b^2-25)(b^2-4)=0 $$
\( b\in \mathbb Q \)であるので、\(b=\pm 2 \) , \( a=\pm 5 \) を得ます。
しかし、方程式の単元が来る前に4次方程式を解かせるというのはないだろうと考え、出題者の意図としてはこちらの解法を考えているのでは無いかというのが次の方法です。\( a^2+2b^2=33, \quad ab=10 \:\)までは同じですが、ここから式を次のように変形します。
$$ a^2+2b^2=33, \quad a^2(2b^2)=200 $$
和が33、積が200となる数を求めると、8と25になるので、有理数の範囲での解を求めると、上記と同じく\(b=\pm 2 \) , \( a=\pm 5 \) を得ます。
Step3
上記の準備をしてから、いよいよ二重根号の問題です。
Find \( \sqrt{11-6\sqrt2} \). \( \qquad \) Hint: \( \quad \sqrt2 \) is never negative.
したがって、日本の解き方とは異なり、与えられた式を\( a+b\sqrt 2 \)と置いて、
$$ 11-6\sqrt2 =(a+b\sqrt 2)^2 $$
ここから有理数 \( a,\,b \)を求めるという流れを作っています。そして、この後、次のような問題を提示し、これ以上には突っ込んでいません。
(1) Write \( \sqrt{11+4\sqrt 6} \) in the form \( a\sqrt2+b\sqrt3 \;\) where \(a,b \in \mathbb Q\) .
(2) Can \( \sqrt{11+4\sqrt 6} \) be written in the form \( a+b\sqrt6 \;\)where \(a,b \in \mathbb Q\) ? Explain your answer.
二重根号という題材を有理数と無理数の関係において捉えるために活用している点が異なります。
二重根号の値を求めるということなら関数電卓で事足ります。何を目的にこの二重根号を扱うのかという点にフォーカスする必要があるということでしょう。

日本教科書の場合
日本の教科書では、二重根号を次のように教えています。
一般に, \( a>0,\, b>0\,\) のとき,
$$ (\sqrt a+\sqrt b)^2=a+b+2\sqrt{ab},\qquad (\sqrt a-\sqrt b)^2=a+b-2\sqrt{ab} $$
であるから、
$$ a>0, b>0 のとき、\sqrt{a+b+2\sqrt {ab}}=\sqrt a +\sqrt b $$
$$ a>b>0 のとき、\sqrt{a+b-2\sqrt {ab}}=\sqrt a -\sqrt b $$
これを公式として使えるようにすることを目標としています。
